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2013年12月13日(金) 19:00~21:00

久住 昌之(くすみ まさゆき) / 漫画家、漫画原作者

『「孤独のグルメ」ウラオモテ話』

漫画『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』などの原作者、久住昌之氏。今年10月にはテレビドラマ『孤独のグルメSeason2』が東京ドラマアウォード2013にて作品賞・連続ドラマ部門にて優秀賞を受賞した。原作者として活動のほか、ドラマ音楽のミュージシャンとしてライブ活動も精力的に行っている久住氏に、漫画やドラマにまつわるウラ話や、意外に知られていない出版事情や音楽事情についてお話しいただいた。

連載開始から19年。ゆっくり売れていった『孤独のグルメ』

先頃、Season3の放送が終了した人気ドラマ『孤独のグルメ』。原作者の登壇とあってこの日の会場は満杯の状態。セミナーはタイトル通り、作者自らが語る『孤独のグルメ』にまつわる「ウラ」と「オモテ」の話、映像の上映にテーマ曲の生演奏と、盛りだくさんの内容となった。
原作の『孤独のグルメ』は漫画家・谷口ジロー氏との共著で、1994年~96年に月刊誌で連載された。「連載中の1995年は阪神大震災やオウム事件などが起きた年。あんな大変な年に、こんなのんきな漫画を連載をしていたんですね」
ドラマでも知られている通り、「孤独のグルメ」は主人公の雑貨商・井之頭五郎が一人で食事をする場面を淡々と描いた異色のグルメマンガだ。仕事柄、さまざまな街へ商談に行く五郎は、訪れる先々で空腹を抱えて初めて入る店で食事をする。谷口氏の絵は「1コマに1日かける」ほど細密かつリアルなもの。1人の食事だから、セリフはモノローグ。出てくる店はグルメブームに乗ったような有名店ではないし、料理もけっして高級ではない。
「僕は一口食べただけで“ものすごくうめえっ”というご馳走はあまり好きじゃないんです。家に帰ったあと、もう一度食べてもいいかなと振り返るくらいで、3回くらい店に行くうちに、“あ、俺これ好きなんだ”と気付くような味が好きなんですよ」
連載終了後は単行本化。このときは一度の増刷で終わった。2年後に文庫化した際も「売れないだろう」と思ったが、久住氏たちの予想に反して判で押したかのように年に2回増刷がかかるようになったという。返ってきた読者カードを見ると、主人公と歳の近い40代の男性読者が多かった。
そういうことが10年ほど続いた。
「こんなにゆっくり売れていった本は僕も谷口さんも初めてでした」
気が付くと若者たちが食事のときに主人公のモノローグを真似る「五郎ちゃん遊び」をするようになり、女性読者も増えた。谷口氏の漫画がフランスで評価が高いこともあって海外からも翻訳の話が舞い込み、フランス、イタリア、ブラジル、スペイン、韓国、台湾と、作品は次々に翻訳されていった。
ただし、漫画の翻訳には「高い壁がある」。
「右綴じの日本の漫画は横書きの国だと逆版で左綴じになります。おかげで矛盾だらけになるんです」
モニターに大きく表示された各国版『孤独のグルメ』。日本の漫画独特の描き文字処理の間違いや勘違いしたタイトル、構成上入れ替わったコマの順番など、翻訳する側の苦労や腐心が窺えるそれは、同時に文化の違いを表わしていて、どこか笑いを誘うものでもある。

ドラマ初回、ネット上で連呼された「うまそー!」

話は漫画からドラマへ。プロデューサーの吉見健士氏は「10年間、この作品をドラマ化したいと言いつづけていた」という作品のよき理解者だ。ドラマ化にあたり久住氏が出した条件は、「漫画に出した店は出さず、自分たちの足で新しい店をさがす」というもの。
「今は何でもネットの口コミなんか調べて行くけど、それは他人が言っていることを確かめに行くだけの〈確認食い〉。自分の足でさがすことによって、自分の好みもわかってくるし、失敗したら失敗したで人に話したときに笑ってもらえるネタになるんです」
主演の松重豊氏は、ロケ先などでも「1人で知らない店に食事を食べに行く」といった、まさに井之頭五郎を地で行くような俳優。松重氏はこの仕事の話を聞いて、自分から手を挙げてくれたという。2012年の1~3月に放映したSeason1は深夜放送の枠ながら人気を集め、同年10月からはSeason2も開始。深夜にも関わらず放映中のツイッター上では「30分で4,000ツイート」といったお祭り状態となった。ことに忘れられないのはSeason1の初回。番組が始まるとネット上の掲示板には「漫画と顔が違う」「おばちゃん演技へた」と悪口が並んだが、五郎役の松重氏が食事を始めるや「うまそー! うまそー!」が連呼された。
「最近はみんなテレビを見ながらツイッターや2ちゃんねるでツッコミを入れたりするんですね。これは想像していなかったのでおもしろかったです」
番組には久住氏も出演。テーマ曲などサントラは自身のバンド「スクリーントーンズ」が担当し、脚本の修正も手がけた。ドラマ化に際していちばん心配したのは「店に迷惑をかけること」。だが、これは杞憂に終わる。番組に登場した店は放映後はどこも行列ができるほどの大繁盛。客は皆、五郎と同じ物を注文し、五郎と同じように騒ぐこともなくジェントルに食べる。伊豆や新潟など地方の店でもそれは同様。そして日本だけではなく、中国や韓国などからもファンが来るという。

「小さな冒険」が作品と笑いを生む

デビュー作の『夜行』(※泉晴紀氏との共著。「泉昌之」名で発表)からして「1人の男が夜行列車の中でお弁当のおかずや食べる段取りに一喜一憂する」といった漫画を描いてきた久住氏。それに「足で稼ぐ」という点がプラスされた『孤独のグルメ』は、久住氏の「散歩好き」が生み出した作品でもある。セミナー中は「先週歩いたばかり」というJR成田線の久住駅や佐原駅周辺で撮った写真を紹介。ここで会場を湧かせたのは、佐原で見つけた銭湯でのエピソード。散歩先ではよく銭湯に入るという久住氏だが、「この銭湯の入口のわかりにくさは特Aクラスでした」。住宅街の路地の奥に看板もなくたたずんでいる銭湯は、初めての人間にとっては入口に辿り着いて扉を開けるだけでも「小さな冒険」だ。これは食事で店に入るときも同じ。こうした「小さな冒険」は作品づくりに生きている。そのひとつがWEBサイト『幻冬舎』で連載中の『野武士のグルメ』。同名の久住氏のエッセイを土山しげる氏がコミック化したこの漫画にも「小さな冒険」は反映されている。
セミナーのラストは「スクリーントーンズ」のフクムラサトシ氏とShake氏が登場。久住氏と3人で『孤独のグルメ』のテーマ曲など3曲を生演奏。いきなりのミニライブに満員の会場には手拍子と拍手が鳴り響いた。
世界にファンを持つ『孤独のグルメ』。久住氏の夢はそんなファンを結びつけることだ。
「『孤独のグルメ』が”世界平和”につながればいいですね」
フクムラ氏の夢は「いつかまたドラマ化を」。Shake氏は「来年はワールドツアーを」。『孤独のグルメ』人気はまだまだ続きそうだ。

講師紹介

久住 昌之(くすみ まさゆき)
久住 昌之(くすみ まさゆき)
漫画家、漫画原作者
1958年東京都生まれ。1981年に、原作・久住昌之、作画・和泉晴紀のコンビ「泉昌之」で描いた短編漫画『夜行』でデビュー。実弟・久住卓也とのユニット「Q.B.B」作の『中学生日記』で、第45回文藝春秋漫画賞を受賞。谷口ジローとの共著『孤独のグルメ』は、フランス、イタリアなどで翻訳出版されている。また、水沢悦子との共著『花のズボラ飯』は、「マンガ大賞2011」で4位、「このマンガがすごい!2012」でオンナ部門1位を獲得。漫画、エッセイ、デザイン、音楽など、多方面で創作活動を展開している。

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