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イベントレポート

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2014年10月9日(木)19:00~20:30

生駒 梨奈(いこま りな) / 版画家

かえるを版画でアートにする

かえるを閉じ込めたい、かえると泳ぎたい、かえるとごろごろしたい...生駒氏のそんな願望が現われた版画作品の数々。一年中、かえるのことばかり考えているという同氏の創作活動から、好きなものに没頭し表現へと結び付けていく秘訣に迫りました。

子どもの頃から好きだった「かえる」をモチーフに

9月25日から2週間に渡ってLichtpuntjeで展示していた生駒梨奈氏のアート作品。「かえる」をモチーフにした版画アートは来場者の目を楽しませてくれた。セミナーは最終日の10月9日に実施。若手版画家として注目されている生駒氏にとっては初めての講演。まずは「なぜかえるなのか」について自己紹介を交えながらご説明いただいた。
「かえる自体は子どもの頃から好き」という生駒氏。進学した武蔵野美術大学では入学してすぐに学内に「かえるの卵」を発見。かえるたちが池と間違えて雨水のたまったビニールシートの上に産んでしまった卵を「干涸びたらかわいそう」とせっせと池に運んでは「かえる救出作戦」を展開した。学年を重ねるとともに卵は増えていき、卒業する頃には「おたまじゃくしで池が真っ黒になった」。そのかえるを作品の題材にするようになったのもこの美大時代。授業で作品のモチーフを何にするかで迷ったときのことだったという。
「先生が、身の回りにある物がいい、とアドバイスをくださったんです」
あらためて自分の部屋や持ち物を確認してみると、かえるのグッズやかえるをあしらったデザインが多いことに気が付いた。そこでかえるを描いてみた。次第にそれはエスカレートしていき、「どんなお題を出されてもかえるを描くようになった」。
この日、Lichtpuntjeで展示していたのは、アクリル板を5枚重ねたシルクスクリーンの『あっちへ行きたい』、同じくシルクスクリーンで畳を素材に用いた『シュレーゲルアオガエル・て』と『シュレーゲルアオガエル・あし』。木版画の『背中Ⅲ』や銅版画(エッチング)の『棲む』など。モノクロのエッチングを除けば、生駒氏の作品はどれもカラフルで明るい感じ。自身も「カラフルなものが好き」だという。

「刷りむら」も個性。予想が違うものができるからおもしろい

版画というと、普通の人が思い描くのは小学校で習った木版画。だが、実際には版画にはさまざまな技法があり、紙以外のいろいろなものに絵を刷ることができる。「これが版画のいいところ」だ。
「版画は普通の絵と違って同じものを何枚も刷れるところが特徴ですが、私の場合はほとんどが一点物です。そのかわり、紙だけでなく、Tシャツだったり、アクリル版だったり、畳だったりと、いろいろな物に刷っています」
一点物になるのは「インクをのせるとき、そのときの感覚で版の上に好き勝手にのせるから」。版の上でインクを混ぜながら刷ることで、そのときだけの「むらや混ざり方」が生まれる。「むら」は自分の「持ち味」。普通の版画家だったら、むらや気泡ができたら、それは失敗作。版画作品のカウントである「エディション(限定枚数)」の中には入れられないが、「私の中では失敗作と言われる表現がおもしろいと思ってしまうんですね」。「ぼこぼことした気泡」や「刷りむら」、そういった「自分の予想と違うものができるのが版画のおもしろいところ」だ。
生駒氏の作品のもうひとつの特徴は「ショッキングピンク」。派手で鮮烈なこの色は一般には「使いにくい色」とされているが、生駒氏の作品では「なぜかこの色があると画面が落ち着く」。作品をつくるときは「ショッキングピンクをどこに置くのか考えながらつくる」という。
版画の主な技法(版形式)は凸版印刷(木版)、凹版印刷(銅板)、平板印刷(リトグラフ=石版画)、孔版印刷(シルクスクリーン)の4種。この中で生駒氏が得意としているのはシルクスクリーン。版画の中で唯一、画面が「反転しない」、それに「インクさえ変えれば何にでも刷れる」というところが作風に合っている。版(スクリーンメッシュ)に使う素材はポリエステルの合成繊維であるテトロン。この技法は名前の通りもともとはシルクを使っていたが、伸縮性があることが問題とされていた。その点、テトロンは伸び縮みせず、かつ耐久性があるので版画制作に向いている。インクはオペークインクなどの光を通さないものを使用。これをアルミ枠に「ぴんと張って」版にする。それに感光乳剤を塗って乾燥させ、機械や自然光で紫外線を当てて水洗いをする。すると紫外線が当たらなかった部分の乳剤は溶けて落ち、乾かして製版は終了。あとは版の上にインクを落とし、下に置いた媒体に刷れば作品ができあがる。

作品に登場するさまざまな「かえる」たち

セミナー後半では滅多に見られない「作品の解体」を披露。アクリル板を重ねた作品を一枚ずつ外してもらった。生駒氏の作品はかえるの後ろ姿や、全身のシルエットを描いた表現が多い。もっとも、実は最初の頃は「油絵でも版画でもリアルにかえるを描いていた」という。
「ところが、不幸なことに我が家は母親が大のかえる嫌いなんですね。リアルにすると母が嫌がるので後ろ姿やシルエットだけにした。こういうふうに第三者的な理由で作風が変わることもあるんですね(笑)」
かえるは世界中に6,200種以上。なかには緑一色といったいかにもかえるらしいものもいれば、不思議な模様を持つかえるもいる。模様のあるかえるはシルエットにしても後ろ姿だけにしてもアーティストにとって作品にしやすいモチーフなのかもしれない。
作品解体のあとは、「作品で使っているかえるたちの紹介」。ブリーダーに人気の高い「ベルツノガエル」や「サビトマトガエル」、生駒氏いわく「かえる界一かわいい」という「アメフクラガエル」、かえるには珍しく目が縦になっている「ソバージュネコメガエル」、日本でも見られる「トウキョウダルマガエル」、お馴染みの「ニホンアマガエル」、猛毒を持つ「ソメワケヤドクガエル」、「モウドクフキヤガエル」、そして「カエル界一の美人」である「シュレイゲルアオガエル」など、さまざまな種のかえるの画像を見た。
こうしたかえるたちをモチーフにした作品は、ギャラリーでの展示やかえる好きの集まるイベントなどで販売される。購入層は年配者から小学生までと幅広い。
生駒氏の「夢」は「かえる世界征服」。
「ふざけた言い回しですが、私の作品を通して世界中のみなさんにかえるを思い出してもらえたらと思います。春に池の水は抜かないでほしいとか、いろんな意味をこめて『かえる世界征服』と言いつづけていきたいですね」  

講師紹介

生駒 梨奈(いこま りな)
生駒 梨奈(いこま りな)
版画家
1989年生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻卒業。武蔵野美術大学油絵・版画コンクールにて「kerofull」で天野純治賞を受賞。主な展覧会は「5c-103 武蔵野美術大学版画専攻3年有志展」、「浅草かえるアート展」、「Plus1展」など。書籍掲載作品には「乙女の玉手箱シリーズ カエル」に『kerofull』、「美術の窓 6月号」に卒業制作『あっちへ行きたい』がある。

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