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イベントレポート

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2015年7月7日(火) 19:00~21:00

山口 保行、丸山 韶 /

オールドヴァイオリンの魅力と価値
~なぜ多くのヴァイオリニストを魅了するのか?~

世界の一流ヴァイオリニストの多くが使用するオールドヴァイオリン。彼らが使用する1600~1700年代に制作されたオールドヴァイオリンとはいったいどのような物なのか、またその骨董的価値を決める要因は何か?今回のセミナーでは実物をお持ちいただき、解説いただきました。またセミナー後半はオールドヴァイオリンが制作され、バッハらの活躍したバロック時代の演奏法の解説とプロのヴァイオリニストによる生演奏もご披露いただきました。

オールドヴァイオリンの魅力は「完成された美」と「想像力」

講師の山口保行氏は自身がヴァイオリニスト。と同時に、その販売を手がけるディーラー=「ヴァイオリン屋さん」でもある。

なぜ演奏家である私がヴァイオリン屋さんになったか。それは30年ほど前にオールドヴァイオリンと出会ったのがきっかけでした」

山口氏が経営する『ダ・ヴィンチヴァイオリン』は200年前、300年前といった昔に製作されたオールドヴァイオリンの専門店。オールドヴァイオリンの魅力はなんといっても楽器としての「完成された美」。またその形や音色だけではなく、過去への想像力をかきたててくれるといった骨董品としての楽しみも併せ持っている。その虜となった山口氏。「ヴァイオリン屋さん」になってわかったことは「ヴァイオリンについて何もわかっていないということでした」という。

「やはり演奏家とディーラーでは同じヴァイオリンに対しても違う見方をするんですね」

オールドヴァイオリンは1台1,000万円クラスが当たり前。物によっては億単位。高価な骨董品を扱う以上は「本物か偽物か」を見極める目も必要になってくる。このセミナーではそんなオールドヴァイオリンの魅力やその世界について基礎からお話していただいた。

アマティ、ストラディヴァリ……名品を生み出したヨーロッパの職人たち

まずはオールドヴァイオリンの「価値」。これを決めるのは第一に製作された国、第二に製作者、それに製作された年代や技術、状態、履歴など。国で言うと1位はヴァイオリンの代名詞ともいえるアントニオ・ストラディヴァリ(1644?1737)がいたイタリア。2位はフランス、その後にドイツ・オーストリア、イギリス、オランダなどがつづく。

イタリアは億単位のストラディヴァリやグァルネリ・デル・ジェス(1698?1744)に加え、ストラディヴァリの師匠でもあったニコロ・アマティ(1596ー1684)などオールドヴァイオリンを代表する優れた製作者が揃っている。

ヴァイオリンという楽器は「300年前から完成されている」と言われているが、現代のヴァイオリンと1600年代や1700年代に作られたオールドヴァイオリンでは本体の形状に明らかな違いがある。「膨らみ」はそのひとつ。

特に多くの製作者を育て上げたアマティの楽器はオールドヴァイオリンらしい「膨らみ」のある楽器で、その形状の美しさはニスや木目との完全な調和を見い出せる。

「膨らみ」は正にオールドヴァイオリンらしさの象徴。横にしてみると、アマティ(モデル)の楽器はf字孔が「膨らみ」によって横から見えるように張り出ている。そのf字孔も製作者によって形が違う。こうした違いがファンにはたまらないものとなる。

一般的に「膨らみ」のあるヴァイオリンは大音量を出すには「不向き」と言われているが、アマティなどの時代、ヴァイオリンが演奏されたのは今あるような大ホールではなく王侯貴族の宮廷内であった。そこで使用される楽器には音色の良さは要求されても大きな音量は必要ではなかった。それが時代が進んでコンサートホールなどでの演奏が増えるにつれ、ヴァイオリンもマイナーチェンジされて音量を出すのに向いた張力と弦長、それを支える内部構造が強化されたのである。

フランスで有名な製作者はニコラ・リュボ(1758?1824)とJ・B・ヴィヨーム(1798?1875)。「フランスのストラディヴァリ」と呼ばれる前者のヴァイオリンは山口氏も「昨年販売を手がけた」という。

「取り扱ったのは1700年代末の楽器で1,500万円くらい。これが後期の楽器になると2,000万円を超えてしまいます」

後者のヴィヨームは本人が製作者として優秀なだけではなく、ストラディヴァリ等の名器のディーラーとしても非常に功績が高い。また工房の親方として大勢の製作者を育て大量の優れたヴァイオリンを世に出したことでも知られている。

ちなみにヴァイオリニストとの関わりで言えば、ストラディヴァリはヴィオッティ(1755-1824)、グァルネリはニコロ・バガニー二(1782-1840)という世紀の名演奏家によって、その価値をヨーロッパ中に知られることとなった。楽器はやはり使われてこそ価値が伝わるものということだ。

ドイツ・オーストリア系のオールドヴァイオリンで絶対に欠かせないのがヤコプ・シュタイナー(1617?1683)。シュタイナーの楽器もアマティ同様、非常に美しい膨らみを持つ。当時はアマティとともにヴァイオリン製作の「二大巨匠」であり、死後もその楽器はストラディヴァリよりも高価であった。シュタイナーは弟子も多く数多くの製作者に影響を与えた。有名なのはマティアス・クロッツ(1656?1743)およびクロッツファミリーの楽器で現代でも評価が高い。

なお楽器鑑定の世界では製作者が特定できない場合で、ある製作者の影響が非常に大きいと認められ、工房内の家族や弟子が作ったと考えられる場合「○○工房製(workshop)」、影響を受けたお弟子さんらによる場合は「○○スクール(school)」と呼ばれている。○○にはシュタイナーなど製作者名が入る。

イギリスで注目すべきは製作者というよりもヒル商会という超一流弦楽器専門店。ストラディヴァリ等、数多くの名器を取扱い(販売、修理、制作)、その鑑定書は現在でも超一流として通用する。オールドヴァイオリンの世界では常に重要な役割をした楽器店であった。

ストラディヴァリもグァルネリ・デル・ジェスも真のオールドであるが、モダンヴァイオリンと呼ばれる1800年代中頃以降に制作された楽器は、ほとんどはその2人のコピー。特に量産楽器は99%以上がストラディヴァリコピーだ。

つまり「オールドヴァイオリン」と呼べるのは二大巨匠のアマティおよびシュタイナーの特徴(膨らみ、f字孔)を持った1600~1800年代前半までの楽器」ということになる。

実は「熱い音楽」だったバロック音楽

セミナー後半の第二部ではヴァイオリニストの丸山韶氏が登壇。バロック時代当時の奏法によるバッハの『シャコンヌ』を演奏。楽譜どおりではなくそこに「装飾」を加えた演奏は「この場だけのもの」。バロック時代の演奏スタイルはこのように「楽譜に書かれていない音を奏者が自由に選んで付け加えていいというスタイル」だったという。そのとき、奏者がそこに込めるのは「感情」だ。

「一般にバロック音楽というと近代や現代に比べるとおとなしいという印象ですが、この演奏スタイルに見られるように実はとても熱い音楽だったんですね(丸山氏)」

丸山氏は当時の教本や楽譜をもとにそのバロック時代の演奏スタイルを現代に甦らせた気鋭の演奏家。『シャコンヌ』の前にはコレルリやモーツァルトの曲を現代風とバロック風に弾き比べ「この曲がバロックの演奏スタイルだとこうなるのか」といった驚きを参加者に与えてくれた。

丸山氏の「夢」は「立ち上げたばかりの自分のオーケストラを日本を代表するバロックのオーケストラとすること」。山口氏の「夢」は、いかにもオールドヴァイオリンに魅せられた人らしい壮大なものだ。

「いつかは二大巨匠であるアマティとシュタイナーのヴァイオリンを持ちたい。今でもその二つを合わせると軽く1億円くらいは必要ですけどね(笑)」 

講師紹介

山口 保行、丸山 韶
山口 保行、丸山 韶

山口 保行(やまぐち やすゆき)
ヴァイオリニスト・指導者を経て、2006年にオールドヴァイオリンを専門で取扱う株式会社ダ・ヴィンチヴァイオリンを創業。1600~1800年代のオールドヴァイオリンでは都内屈指の在庫数を持つ。
また現代最高の弓職人の一人とされるピエール・ギヨーム氏制作の楽弓在庫数は日本一である。

丸山 韶(まるやま しょう)
京都市立芸術大学弦楽科を首席で、東京芸術大学別科(バロックヴァイオリン)を総代で卒業。高校時代より歴史的スタイルを考慮した演奏に感銘を受け、独学でバロックヴァイオリンを始める。全国各地のプロオーケストラへの客演、テレマン室内オーケストラやバッハ・コレギウム・ジャパンなどの古楽オーケストラの公演に参加、同メンバーとの古楽器による演奏会にも積極的に参加している。

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