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2017年5月25日(木)19:00~21:00

北川 和裕(きたがわ かずひろ) / 株式会社 Practechs 取締役 ファウンダー・青山学院大学大学院非常勤講師

誰にでもできるアプリ製作超入門

スマートフォンやPC用アプリなどは、専門家しか作れないと思われがちである。しかし実際は、皆さんが思っているほどアプリ製作は難しいものではない。そこで今回は、Webアプリ製作の基礎を学んでいただくセミナーを開催。ちょっとしたツールを自分の手で作れるようになるだけで、業務の負担が減ったり、業務自体を変えることができる。また、個々が持っているコンテンツや才能をアプリというかたちで人々に伝えることもでき、副業やフリーランスとして活躍できる道も開かれてくる。このセミナーでは、自身の新しい可能性を広げる第一歩を踏み出す機会となった。

デジタルの世界で何ができるかを知っておく

 スマホやタブレットの普及で身近になったアプリ。使うことはできても、それがどうやって作られているかとなるとさっぱり、というのが一般的なところだろう。が、講師の北川和裕氏によれば「アプリを作ることは思ったよりずっと簡単です」という。

「アプリ製作に必要なのは高校で習った程度の物理の法則です。エクセルを使いこなせる人であればもっと簡単。今日はそのアプリ製作をご自分のスマホやタブレットで体験してみてください」

 専門はデジタルの文書処理=プログラミング。ワープロも普及していない時代からスタートし、携帯電話の設計やモバイルウェブ技術の研究開発に従事。慶應義塾大学での教員時代は経産省のプロジェクトなどに参加してきた北川氏。そのなかで感じたのは「日本はIT後進国」だということだったという。

「日本のIT化は進んでいるように見えるけれど、実は日本発のIT技術はほとんどない。唯一アメリカやヨーロッパより先を行っていた携帯電話の技術もグーグルやAppleに真似をされて市場をとられてしまいました」

 そのアメリカでは、専門家だけでなく子どもや母親を対象としたコンピュータプログラミング入門の本が出ていたり、GEなどの大企業では新入社員全員にアプリ作りができるくらいのプログラミング技術を学ばせている。その目的は「自分自身はソフトウェアを書かなくても、デジタルの世界で何ができるかを理解する」ことにあるという。

「ここが日本との大きな違い。日本人は新しい技術ができると、それを従来の仕事に取り入れて省力化をはかろうとする。ところがアメリカやヨーロッパではそれを使って仕事のやり方そのものを変えてしまう。そのためにもデジタルの世界で何ができるかを、技術者以外の人間も知っておく必要があるんです」

   もちろん、こうした波に日本も乗り遅れるわけにはいかない。現在は大学を辞めて遠隔医療などヘルスケアを専門とするソフトウェアの開発を行なう会社を経営している北川氏。 起業の背景にはIT化における日本の現状を打破したいという思いがあったという。

「大学で論文だけを書いていたのでは世の中に浸透しない。だったら自分でやろうじゃないか。そう考えて会社を起こしました」

アプリ製作は「部品の組み立て」

セミナーで体験してみたのはアプリのホワイトボード作り。小さな子どものいる家庭でもお絵描き用にひとつあると楽しいものだ。その前に、まず北川氏がプログラミングを担当したデジタル絵本を鑑賞。一見難しそうな絵本も技術的には「大学初年度レベル」。

「このくらいのものであれば、みなさんでも3、4か月勉強すれば作れるようになります」

 とは言われても、素人がいったい何から始めればいいのか。だが、心配は無用だ。アプリ製作といっても、何もかもを一から創造するわけではない。もともとあるものを利用することでアプリは誰にでも作れるのだ。

「現代のアプリ製作、デジタルなネットワークのサービスの構築は、作るというより組み立てるもの。飛行機やテレビなどもそういう時代です」

  飛行機で言うならボーイング社。B747ジャンボジェットの時代、ボーイング社はすべての部品を自社で作る製造工場だった。しかし現在の主力機であるB787を見ると、翼やボディは日本製、エンジンはロールス・ロイス社やGE社製で、ボーイング社はそれを組み立てているだけだ。かつては強かった日本の家電メーカーが海外で苦戦しているのも、外国のメーカーが同じ部品でより安い製品を提供しているからなのだ。

「今観ていただいたデジタル絵本もUnityというゲーム制作でよく使われるソフトウェアを使用しています」

 Unityは個人単位で使う分には無料で使用可能。このようなアプリを作るための「部品」は無料、有料を問わず数多くある。アプリを作る人間は「その部品を持ってきて、それらを結合させるための処理を書いていけばいいだけです」。

プログラミング言語を書き込むだけで、誰でもいろんなことができる

今回のホワイトボード製作で使用するのは北川氏が大阪大学や同志社大学、大妻女子大など教育の現場で使っている『Processing.js』。これはアニメーション=絵を描くことを目的としたプログラミングのシステムで、書き込む言語にはデジタルの世界で広く普及しているJavaを採用している。

Processingを使用するにあたり、概念として覚えておきたいのは「関数」、「変数」、「制御構造」の3つ。関数は「処理を行なうための部品」。変数は「値を入れるコンピュータ上の箱」。制御構造は、例えば指がスマホのパネルに当たっているときはオン、それ以外はオフになるといったプログラミングによって作られるルールのようなものと考えればいい。どれも難解に聞こえるが、作業としては実に簡単。今回は北川氏が事前に用意してくれたウェブページにアクセスし、そこに、line(10, 10, 50, 50);といった文字を書くだけ。例文の場合、lineは「線」で、( )内の数字は引数。最後の ; は文の終わり、日本語で言う「。」や英語のピリオドを指す。こうしたプログラミング言語をどんどん打ち込んでいったり、それを変更したりすることで、線が引けたり、円が描けたり、背景や線の色を変えられたり、あるいは絵を動かしたりすることができる。

いざ自分で始めてみて気付くのは、デジタルの技術とはいってもその発想の源は昔からある絵画や印刷の技術であったりすることだ。色を消したいと思ったら消すのではなく油絵のように絵の具を重ねて塗りつぶす。画面上でヘビのようなものを動かしたいと思ったら線を引き、その始点から一定の長さまでいったところで背景と同じ色に変わるようにプログラミングすればヘビが動いているように見える。このように初心者にとってプログラミングは「目から鱗」の連続。それによって自分の中でパラダイムシフト(価値観の変化)が体験できるのが面白いところだ。少しの時間と手間を惜しまなければ本当に誰でもできるアプリ製作。

北川氏の「夢」は「デジタルの世界を通じて若い人たちに豊かになってもらう」ことだ。

「そのために自分が養ってきたデジタルの知識や経験を一人でも多くの人に伝えていきたい。いい世界をつくっていきたいですね」
   

講師紹介

北川 和裕(きたがわ かずひろ)
北川 和裕(きたがわ かずひろ)
株式会社 Practechs 取締役 ファウンダー・青山学院大学大学院非常勤講師
慶應義塾大学大学院修了後、ソフトウェアハウスの(株)SRAに勤務。その後、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科准教授を務め、World Wide Web コンソーシアム(W3C)にてモバイルWeb技術の研究開発、標準化をリードする。その後、モバイルヘルスケアの研究に携わり、同大学を退職後、ヘルスケア事業を立ち上げる。現在もさまざまなソフトウェアの開発を行なっている。

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