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2014 Apr.22
お気に入りの1冊 —My Favorite Book— Vol.9

自分の人生の「振り返り」ができる1冊
『点と線』松本清張著

読書は人生の糧であり、本はときに「夢」へと進む自分を導いてくれる「師」となってくれます。本シリーズは各方面で活躍されているみなさんにそうした自分にとって唯一無二の本、「お気に入りの一冊」をご紹介いただくコーナーです。
第9回目のゲストは、ミュージシャン、マルチメディア・クリエーターであり、鉄道好きで知られる向谷実さん。「熱狂的な鉄道ファン」だという向谷さんを夢中にさせたのが、刊行から半世紀以上経った現在も高い人気を誇る松本清張の代表作『点と線』。「初めて読んだのは中学生のとき」という向谷さんに、その魅力について伺いました。

語り手
向谷 実(音楽プロデューサー、音楽家、会社経営者)
聞き手
高野 裕太(Lichtpuntjeスタッフ)
自分の人生の「振り返り」ができる1冊

鉄道好きに拍車をかけてくれた1冊

向谷さんインタビューの様子

高野本日、お持ちいただいた1冊は松本清張の『点と線』。この本は初版が1958年。今から56年も前の作品ですが、いまだに書店で売られていますね。

向谷日本交通公社(現JTBパブリッシング)の『旅』という雑誌でこの作品の連載が始まった頃、僕はまだよちよち歩きの赤ん坊でした。日本は戦後の復興期を終えて、高度経済成長期へとさしかかる頃ですね。ブルートレインが登場したのは、この本が出た1958年。日本が躍動していた時代でした。僕が読んだのは中学生のときです。読んでみると、そこには鉄道の魅力とともに自分が生まれた頃の日本が描かれていました。懐かしさとおもしろさの両方があって、夢中になって読んだのを覚えています。

高野ブルートレインは、今では上野から札幌を結ぶ『北斗星』を除いてすべて廃止されました。昔からブルートレインといえば鉄道ファンにとって憧れの乗り物だったと思います。

向谷一般の人にとって、高嶺の花であり憧れでしたよ。『点と線』では、警視庁捜査一課の刑事が捜査のために九州に出かけます。捜査一課の刑事といえば、警察の中ではエリート中のエリートです。だけど使えるのは急行列車までで、寝台特急の『あさかぜ』は使えない。読んでいると、ブルートレインがいかに夢のまた夢の乗り物だったかがわかります。

高野『点と線』はミステリーでありながら同時に旅も描かれていますね。

向谷青函連絡船は出てくるし、最後には飛行機も登場します。憧れの乗り物が次々と出てきますね。九州から北海道まで、日本列島全体が舞台となっています。今で言うと世界を股にかけた大スペクタクルですね。松本清張先生はペンの力でそれを表現しているのがすごいですよね。それと、この本を読んで僕は時刻表が大好きになったんです。子どもの頃から鉄道は好きでしたけれど、この1冊でそれに拍車がかかった。そういう意味では「運命の一冊」でした。

高野この作品の中でとくに印象に残っている箇所はありますか。

向谷やはり有名な「空白の4分間」じゃないですかね。東京駅の13番線から15番線を見たときに、まったく列車が見えなくなるというあの部分。あとから図書館で松本清張先生が『点と線』を書かれた当時の時刻表を見たら、付録にダイヤグラム(交通機関の運行計画を表現した線図)がついていたのですよ。おそらく先生は時刻表やダイヤグラムを調べ上げて、あのトリックを生み出したのではないかと思いました。あらためて時刻表ってすごいな、と感じました。

<『点と線』より抜粋>

 安田はホームに立って南側の隣のホームを見ていた。これは十四番線と十五番線で、遠距離列車の発着ホームだった。現に今も、十五番線には列車が待っていた。つまり、間の十三番線も十四番線も、邪魔な列車がはいっていないので、このホームから十五番線の列車が見とおせたのであった。
「あれは、九州の博多行の特急だよ。〈あさかぜ〉号だ」
 安田は、女二人にそう教えた。

アナログだから生み出される想像力

向谷さんインタビューの様子

高野松本清張作品を読むのはこれが初めてだったんですか。また、他にはどんな作家さんの本を読まれていますか。

向谷この本が最初で、それから松本清張作品はだいたい読んでいると思います。仕事で出かけることが多いので、本は移動中に読むことが多いですね。最近よく読むのは東野圭吾さんや池井戸潤さん、それに百田尚樹さんの小説。渋いところでは帚木蓬生さんの『ヒトラーの防具』なんかも好きですね。松本清張先生は社会派の作家さんでしたし、僕自身も安保闘争や大学紛争など社会活動が盛んな時期に育ったせいか、割と政治的な話や反権力的な作品に魅力を感じるようです。

高野向谷さんは音楽活動や映像制作でもデジタルデバイスをよく使われていますね。本もやはり電子書籍を読まれるのですか。

向谷それが、本に関しては紙の本が好きなんですよね。本というのは書かれている内容だけでできているわけではない。装丁とか、ちょっとした編集者のこだわりとか、手に持った感じとか、そういうものをすべて含めて「本」ではないかと思えるんです。だからか、同じ文章が書かれた本でも紙の本に惹かれるんです。これは音楽も同じで、確かにパソコンでも音楽は聴ける時代になったけれど、我々音楽家にとっては人前で演奏するのが基本なんです。生で演奏することによって、人と人のつながりができる。僕は音楽大学で9年間先生をやっていたんですけど、その間、学生に口酸っぱく言っていたのは、どんなにデジタルが進化しても、やっぱり自分で鉛筆を持って譜面を書くという作業を怠ると音楽家としては伸びないよ、ということでした。本も音楽も、原点を忘れてはならない気がします。

高野今日持って来てくださった『点と線』の他におすすめの本があるとしたら何でしょう。

向谷大型時刻表です。さっきの話でも触れましたよね。実は今日は迷ったんですよ。『点と線』にするか時刻表にするか、で(笑)。

高野時刻表ですか。確かに大型時刻表は旅心を誘うし、開くと夢が広がるものですよね。

向谷最近は乗り換え案内系のソフトに押されて苦戦しているけれど、時刻表にはピンクのページや欄外の記事も含めて、バーチャルトリップができる楽しさがあります。ネットの乗り換え案内の利便性は素晴らしいし僕もよく使うけれど、あくまでも点と点を結ぶためのもの。その点、時刻表は想像力をかきたててくれます。なにも毎月買う必要はない。臨時列車の情報など、季節感を感じるのに3ヶ月に1冊買えば十分だと思います。消費増税で運賃体系も変わったし、それが載っている号を手もとに置いておくと便利ですよ。

高野とても興味深いアドバイスですね。想像力を鍛えるということも兼ねて大型時刻表を買って読んでみたいと思います!今日はどうもありがとうございました!

<今回紹介した本>

『点と線』(松本清張著/新潮文庫)

『JTB時刻表』(株式会社JTBパブリッシング)

『点と線』(松本清張著/新潮文庫)

Information 1

向谷 実 氏

音楽プロデューサー、音楽家、会社経営者

1956年東京都生まれ。ネム音楽院(現:ヤマハ音楽院)のエレクトーン科卒業。日本を代表するフュージョンバンド「カシオペア」に20歳のときにキーボーディストとして加入。2010年よりインターネットでの動画配信を積極的に行っている。熱狂的な鉄道ファンであり、世界初の実写版鉄道シミュレーションゲーム「Train Simulator」を株式会社音楽館の代表として開発。多くの媒体で延べ30タイトルを発売。各地の発車メロディや車内BGMの制作も担当。コラムの連載(日経ビジネス・オンライン)や、情報番組のコメンテーターとして出演するなど、活躍の場を広げている。

Information 2

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Lichtpuntjeコミュニケーションスペースは、ミッドタウンと二子玉川にあるフリースペースです。
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二子玉川ライズ・オフィス12FにあるLichtpuntje二子玉川には、「趣味」をテーマにした本約700冊や「HONZ」のおすすめ本約500冊、そして約300冊の絵本を所蔵しています。
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夢が実現する「Lichtpuntje コミュニケーションスペース」ミッドタウン夢が実現する「Lichtpuntje コミュニケーションスペース」二子玉川

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