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2013 Jun.13
Dream & Passion
~輝ける女性たちの肖像~ Vol.5

—オーナーパティシエ 柿沢安耶のチャレンジ精神—
野菜の新しい食べ方を発信し、日本の食を変えていきたい

自分らしく活き活きと働く、素敵な女性たちを紹介する「Dream & Passion」。第5回目のゲストは、野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」のオーナーパティシエ、柿沢安耶(かきさわあや)さん。大学在学中より料理研究家のもとでフランス料理を学び、フランスへも留学。卒業後、パティスリーとレストランで研鑽を積み、2003年に野菜が主役のレストラン「オーガニックベジカフェ・イヌイ」を栃木県に開店しました。2006年には東京・中目黒に現在のお店をオープン。食育や農業にも関心が高く、新しいことに挑戦し続ける柿沢さんに野菜スイーツを手がけることになった理由や日本の食への想いなどを伺いました。

聞き手:スルガ銀行Lichtpuntjeスタッフ 和智あゆ美

野菜の新しい食べ方を発信し、日本の食を変えていきたい —オーナーパティシエ 柿沢安耶のチャレンジ精神—

自分の店を持ち、体に良い食事を出したいという夢があった

柿沢さんインタビューの様子

Lichtpuntje柿沢さんは当初フランス料理を学ばれていたそうですが、パティシエとして野菜スイーツを手がけることになった経緯や理由を教えてください。

柿沢私は子どもの頃から動物が好きで、特に好きだった絵本の影響で豚が大好きです。フランスでは豚がトリュフを掘るということを知り、それをきっかけにフランスへの興味が広がり、フランス料理を勉強したいと思いました。実際にフランスに留学して、料理学校でフランス料理を学んでいたのですが、ウサギなどの毛をむしって内臓を取り出す作業があり、これを一生続けていくことに抵抗がありました。そこでお菓子なら、そうした作業をしなくて済むと思ったのです。また、もともと身体が弱く、体調をよく崩していたので、将来は身体に良い食事を出す自分の店を持ちたいと考えていました。

Lichtpuntjeそれでフランス料理でなくお菓子を作りたいと思われたわけですね。

柿沢ええ。しかし、ケーキは大量のバターや砂糖を使っていたり、食品添加物が入っていて、なかなかヘルシーとは結びつきませんでした。今から13年前になりますが、マクロビオティックとベジタリアンの食事に出会い、「これはいいかも!」と思ったのです。ベジタリアンの食事は身体だけでなく環境にもやさしく、しかも動物を扱わなくても良いというところに魅力を感じました。また、マクロビオティックの学校に通い、玄米を中心に有機野菜や豆類を食べる食事方法を実践すると体がとても元気になりました。風邪をひかなくなったり、肌のトラブルが解消するなど、良いことだらけだったのですが、一方でストイックな部分もありました。

Lichtpuntjeどんな部分がストイックだったのですか。

柿沢肉、魚、卵、乳製品、砂糖を禁止していたため、友人との外食が楽しめなかったり、彩りの美しい料理が作りにくかったのです。だから、料理に使う食材は、もう少しゆるくしても良いかなと思いました。
マクロビオティックの原点には「身土不二(しんどふじ)」といって、その土地や旬のものを食べると身体に良いという考え方があります。現代ではあらゆるものを食べられるようになりましたが、日本人はもともと農耕民族なので、「玄米や野菜、肉を少々、魚は獲れたら食べる」という生活だったと思います。私は日本古来の食事方法を取り入れるべきだと考え、お米や野菜・豆類を中心に、場合によって乳製品や卵を使うベジタリアンレストランを栃木県に開きました。

栃木で畑を訪ね、野菜を見てカルチャーショックを受けた

柿沢さんインタビューの様子

Lichtpuntjeそのレストランが最初に開店された「オーガニックベジカフェ・イヌイ」ですね。なぜその土地を選んだのですか。

柿沢主人の実家が栃木県にあったことが大きなきっかけです。開店資金も東京でオープンするよりも半額の約1,000万円で済み、家賃も安かった。野菜の美味しいところで始めたいという想いもありましたし。そこは、食材に恵まれた本当に素晴らしい環境でした。都会で育ったので野菜が育っているところをじっくり見たことがなく、有機野菜を仕入れるために農家の畑を訪れたときは、衝撃を受けました。テレビや本などで知っていたつもりだったのですが、実際に土に踏み込んで野菜にさわり、「野菜が生きているのはこういうことなんだ」と、改めて感動しました。野菜にエネルギーや可能性を感じ、もっと自由な野菜の料理方法があっても良いのでは…と考えました。

Lichtpuntjeそれで野菜スイーツを作るようになったのですか。

柿沢野菜スイーツをつくるきっかけになったのは、農家の畑で見た間引き人参です。ところで、間引き人参ってご存知ですか。

Lichtpuntjeいいえ、初めて聞きました。

柿沢私も畑に行くまで知りませんでした。人参を育てる際にすべてが発芽しない場合があるため、多めに種を蒔きます。だんだん育ってきて指くらいのサイズになった時に、人参が多すぎると栄養が行き渡らないため、抜いて行きます。それが「間引き人参」。食べると身も葉も柔らかくて美味しいんですよ。それが捨てられていると聞き、貰ってきて人参パイを作りました。その人参パイをお店で出したところ、お客さまに「驚きと楽しさがある」とたいへん喜んでいただけました。その後、農家の方と話をする機会が増え、農業をする方ならではのお話を聞くことで、農業のことをよく知らない人や野菜嫌いの人が多かったり、野菜から元気を貰っている人が少ないのでは…と思いました。そこで、野菜や農業のことを伝えられるようなお店を持ちたいという新しい目標ができたのです。野菜ケーキは野菜の新しい食べ方であり、野菜の新しい一面を知ることができます。それによって野菜をもっと食べる人が増えれば…という想いがありました。レシピを開発して作るのも楽しかったです。これが7年前に野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」をオープンさせた経緯です。

Lichtpuntje柿沢さんが野菜スイーツを始められた頃は、他にそういったお店はなかったですよね。初めての分野で新しいお店を開店されるとは勇気があってすごいな…と感心しました。不安などはありませんでしたか。

柿沢栃木に最初のお店を開いた時も知らないことがたくさんあって大変でしたが、「ポタジエ」のオープンの時もいろいろハードルがありました。前例のない世界初の野菜スイーツのお店でしたからね。厨房の道具もレストランとスイーツでは全然違い、このお店は開店時に4~5,000万円かかりました。ショーケースやオーブンなど、それぞれ数百万円単位の大きな買い物があり、ドキドキしましたね。でも、楽しかったですし、やりがいがありました。

「パティスリー ポタジエ」中目黒店「パティスリー ポタジエ」中目黒店
「パティスリー ポタジエ」中目黒店

野菜嫌いな子どもでも野菜ケーキなら食べられる

柿沢さんインタビューの様子

Lichtpuntjeお店で使用している野菜へのこだわりや農家との関わりについて教えてください。

柿沢今の世の中、野菜はどこからでも仕入れることができますが、農家を限定して美味しい有機野菜を使うことにこだわりがあります。当初は栃木の農家から仕入れていましたが、量が不足したり種類も限られてしまうため、少しずついろいろな地域にお邪魔したり、講演や食育活動の際に地元の方に美味しいと評判の農家を訪ねて、仕入れ先を増やしました。その一方で農家からのアプローチも多いです。そして今では北海道から鹿児島まで全国の契約農家から野菜を取り寄せています。北海道からは「インカのめざめ」というジャガイモ、鹿児島からは美味しさを凝縮するために1つの蔓から1個だけを収穫する「極利(ごくり)かぼちゃ」、福岡からは採れたての筍を薪釜で炊いたものを届けていただいています。このように野菜に思い入れのある農家から取り寄せることで、野菜にまつわるストーリーも伝えることができます。

Lichtpuntje仕事をされる際に、心がけていることは何かありますか。

柿沢それは、楽しく働くことです。自分で会社を経営しているため、仕事とプライベートの境目があまりありません。1年中働いているという感覚があります。休みたいとか遊びたいという気持ちもあるのですが、私の場合、仕事自体が遊び感覚。こんなことを言うと、誤解されてしまうかもしれませんが、楽しんで仕事をすることで良い物を生み出すことができると考えています。

Lichtpuntje柿沢さんが楽しんで仕事をされているというのは、とてもよく伝わってきます!柿沢さんが仕事をしていて、うれしいことや、やりがいについてお聞かせください。

柿沢日々ケーキを作っていてお客さまや農家の方など、いろいろな方に接し、お話ができることが楽しいです。青菜が嫌いなお子さまが私のケーキがきっかけで、家でも食べられるようになったり、大人でもトマトが食べられるようになったと喜んでいただいたりすることが、すごくうれしい。また、農家の方も自分が育てた野菜がケーキになってショーケースに並び、お客さまに食べていただけることを喜んでくださっています。それがやりがいにつながります。

Lichtpuntje野菜嫌いの方が柿沢さんのケーキを食べて、野菜を食べられるようになるのはスゴイことだと思います!

柿沢大人は簡単にはそうはいかないかもしれませんが、子どもは野菜に対してのイメージが変わるようです。小学校で食育の授業もよくさせていただくのですが、ナス嫌いの子どもがナスを使ったケーキを食べることができ、それによって野菜への苦手意識がなくなるようです。

Lichtpuntje子どもの場合、友達などの環境によって野菜への苦手意識がありそうですね。だから、食育は大切ですね。

柿沢子どもの頃に嫌いなものが食べられたという経験があると、その後も「違う食べ方をしたら、食べられる」という自信にもつながります。食育の授業の中では、野菜がどうやって収穫され、いかにして食卓に並ぶのかを話しています。野菜は農家の方が愛情を込めて育てたもの。それがいろいろな人が関わって食べ物として目の前にあるわけです。そうしたことを子どもたちに伝え、食への意識を高めるきっかけになれば良いと考えています。

もっと野菜を食べてほしい。そのために新しい食べ方を開発したい

柿沢さんインタビューの様子

Lichtpuntje柿沢さんの今後の抱負や夢を教えてください。

柿沢現代の日本人は1人当たりの野菜を食べる量が減っていて、肉食が中心になってきています。昔からの食生活から離れ、身体に負担がかかっているため、野菜とお米をもっと食べて元気になってほしいという想いがあります。そのために、新しい食べ方の発信をしていきたいと考えています。また、お土産プロジェクトをやっていて、その土地ならではの野菜を使ったお菓子を開発したりもしています。最近では秋田県とコラボレーションしてその土地にしかない「あきた香り五葉」という品種の枝豆を使って作った「青豆のドラジェ」を開発。お土産はその土地の特産品を使って作った方がいいと思いますし、その土地の魅力を伝えることができるので、今後も全国の特産品を使ったお土産を作っていきたいですね!そして、野菜にはその地域ならではの伝統野菜もあります。京都の伝統野菜は有名ですが、他の地域では流通にのせにくい等の理由で作る人が減っています。絶滅危惧の野菜もたくさんあるんですよ。私はそうした野菜の新しい食べ方を開発し、多くの人に食べていただきたいのです。まだまだ力不足なのですが、野菜をいろいろなカタチで食べる機会を増やし、日本人の食を変えるアプローチをしていきたいと考えています。

Lichtpuntje野菜を通じて日本の食を変えていく活動というのは素晴らしいと思います。柿沢さんのその活動の原動力になっているのは、そうした想いからでしょうか。

柿沢やりたいことがあり、それがあるから頑張れるのだと思います。大きな目標を持つことを大事にしていますね。目先のことではなく、10年・20年・30年後の目標を持っていると、今上手くいかないことがあっても、それがすごく小さなことに感じられます。今大変だなと思っていても30年後にはあの時頑張ったから良かったと思えるかもしれません。

Lichtpuntje大きな目標があるから頑張れるということもありますよね。

柿沢今も新しいお店の準備で大変です(笑)。お米と野菜の美味しさを伝えるために六本木で野菜寿司専門店をやっているのですが、そのお店を「パティスリー ポタジエ」の近くに移転し、コンセプトを少し変えて6月にリニューアルオープンをする予定です。現在よりもカジュアルにお米や野菜を使った料理を楽しめるお店にしたいと考えています。テイクアウトができたり、夜は立ち飲みができたり、メニューは月替わりなど、フランスのマルシェ(市場)のように動きのあるお店にしていきたいと思います。

Lichtpuntjeそれは楽しみですね!柿沢さんにとって仕事とは何でしょうか。

柿沢仕事は人生。生きることそのものです。仕事がなかったら、何をしているのでしょうね(笑)。

やってみて開ける世界がある

柿沢さんインタビューの様子

Lichtpuntje柿沢さんは若くしてお店を持ち、次々と新しいことにチャレンジされていると思います。新しいことにチャレンジしたいと思っていてもなかなか一歩を踏み出せない女性にメッセージをお願いしたいのですが…。

柿沢私は新しいことを始めるのが好きなのだと思います。一言で言うと楽しいんですよね。前例がない分、大変なこともたくさんありますが、新しいことを始めるワクワク感がお客さまにも伝わっているような気がします。私は迷うくらいなら1度はやってみる方がいいと思います。最初のお店の時も今度オープンするお店もそうですが、成功も失敗も紙一重。「失敗してもいい」というくらいの勢いがないと新しいことを始められないのではないでしょうか。自分が何かやりたくてアクションするからハードルが出てくるのだと思います。それをクリアするのが楽しいと思えるといいと思います!

Lichtpuntje柿沢さんは、迷いはなかったのですか?

柿沢多少はありました。栃木でレストランを始めた時は26歳。周りからまだお店を持つのは早いのでは…と、反対されました。でも、やってみて新たな道が開けることがあります。私の場合、栃木でお店を始めていなければ、野菜スイーツを作っていなかった。東京で暮していたら、日本の農業のことを考えたり、食育の活動もしていなかったと思います。人との出会いから始まることもありますから、一歩踏み出してみると新しい世界が開けるのではないかと思います。

Lichtpuntje素敵なメッセージをありがとうございます。最後の質問になりますが、忙しい女性におすすめの食事方法や食材などを教えてください。

柿沢食べ物は今の自分はもちろん、10年後、20年後の自分の身体をつくっていくと思います。忙しいときはお総菜等を買ってきたほうが便利で、安価ということもあるかもしれませんが、なるべく自炊をおすすめしています。私は農家の方から直接、有機野菜を届けていただいています。旬のものしか届きませんから、その季節に合った新鮮な野菜が食べられます。例えば、夏にはトマト、キュウリ、ナスなど瑞々しくて身体にいいものが多く、冬は身体を温める根菜類が多くなるわけです。長い目で見れば、こうした野菜を食べ続けることで病気になりにくい身体をつくります。また、現在体調不良を感じている方は、休日にもっと自然にふれる機会を作ったほうがいいかもしれません。自然から離れてしまうと身体や心のバランスが崩れやすくなります。例えば、野菜を届けてくれる農家の方の農作業をお手伝いに行くのもいいでしょう。土や植物にふれると、癒されますし、元気になります。私は野菜が届くと、都会にいても自然を思い出します。段ボールを開けたとき、畑の光景や農家の方の顔が浮かぶ。それが、とてもホッとする瞬間です。

Information 1

パティスリー ポタジエ

2006年4月に東京・中目黒にオープンした、世界初の野菜スイーツ専門店。オーナーは柿沢安耶さん。オンライン販売も行っている。

パティスリー ポタジエパティスリー ポタジエ 公式サイト

公式サイト

Information 2

Lichtpuntjeコミュニケーションスペース

食の大切さを伝えていきたいと言う柿沢さんのお話はいかがでしたか?Lichtpuntjeコミュニケーションスペースでは、食、文化、芸術、スポーツ、最新トレンドなどのさまざまなテーマのセミナーを頻繁に開催しています。場所はミッドタウンタワー7F。平日の他、土曜祝日もオープンしています。

夢が実現する「Lichtpuntje コミュニケーションスペース」

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文 高橋真由美(Inner Promotion Network)
写真 松本祐亮

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