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HI-STORY PROJECT Vol.1 「3×1」 ~NYで生み出される至高のデニム~ 現在、早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科4年の周栄 行(しゅうえい あきら)さん。早稲田大学3年時に、上海の復旦大学新聞学院に1年間留学し、伝播学(コミュニケーション学)の学位を取得。帰国直後、ニューヨーク大学に留学しビジネスマネジメントを学ぶ。上海での留学中に出会った「NOMAD PROJECT」の成瀬勇輝氏に影響を受け、世界中のストーリーのある「モノヅクリ」に携わる職人やブランドを紹介する「HI-STORY PROJECT」を企画。「テーマを持った旅」を応援するLichtpuntjeで、今回から掲載していきます。

2013 Jun.18
HI-STORY PROJECT Vol.1

「3×1」
~NYで生み出される至高のデニム~

現在、早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科4年の周栄 行(しゅうえい あきら)さん。早稲田大学3年時に、上海の復旦大学新聞学院に1年間留学し、伝播学(コミュニケーション学)の学位を取得。帰国直後、ニューヨーク大学に留学しビジネスマネジメントを学ぶ。上海での留学中に出会った「NOMAD PROJECT」の成瀬勇輝氏に影響を受け、世界中のストーリーのある「モノヅクリ」に携わる職人やブランドを紹介する「HI-STORY PROJECT」を企画。「テーマを持った旅」を応援するLichtpuntjeで、今回から掲載していきます。

「3×1」 ~NYで生み出される至高のデニム~

001 何よりも大切な宝物

僕はこれから、語られるべき物語(ストーリー)と歴史(ヒストリー)を持ったモノを求めて、世界中を旅していきます。なぜ「テーマのある旅」をしようと思ったのか、まずはその辺を書いていきたいと思います。

僕は高校1年生の時、ずっと憧れていたレッドウィングのブーツを購入しました。そのブーツは当時の僕にとって何よりも大切な宝物で、以来、こまめに手入れをしながら8年間履きつづけました。底は随分と擦り減ってしまっていて、そろそろ張り替え時ではありますが、全体としてはまだまだキレイなものです。少なくとも、もう10年は付き合ってもらうことになると思います。

そのブーツには僕の8年間の歴史が詰まっていて、シワやキズの1本1本に物語が刻まれています。仮に今、このブーツを買ったときと同じ値段で売って欲しいと言われても、僕は決して売りません。そこには僕にとっての価値が生まれているからです。モノに宿った物語(ストーリー)や、歴史(ヒストリー)それ自体が価値を持っていて、年を経る毎にそれらは積み重なっていき、その深みを増していくのだと思います。

しかし、こうしたストーリーを宿したモノは、どんどん減っていっているように感じています。グローバリゼーションによって世界はフラット化していき、消費形態が一般化している。ファストファッション、ファストフードはどこの国へ行っても同じ顔をして僕らを迎えます。企業は利益を追求するという要請に応えるために、少しでも人件費の安い国へと、モノヅクリの拠点を移していく。そうやって作られたモノ達に、ストーリーを宿らせることは難しいのではないでしょうか。消費される前提で生まれたモノは、時間の積み重ねに耐えられないのではないでしょうか。

それでも世界には、ストーリーを宿したモノを生み続けている人がいる、場所がある。そういうモノを求めて、旅をしたいと思いました。世界中にある「モノガタリ」を探してみよう、と。

002 世界中にある「モノガタリ」を探す旅のルーツ

僕が旅を好きになった原点は、沢木耕太郎さんのノンフィクション小説でありバックパッカーのバイブルとされる「深夜特急」なのですが、沢木さんは「乗り合いバスだけでインドからパリへ行く」、「事前に下調べをすることはせず、町の地図は現地で手に入れる」といった、いくつかのテーマやルールに従って旅をされていました。かつて上海での留学中に運よく沢木さんの講演会に参加することが出来たのですが、好奇心に溢れた、本当に魅力的な方で、いつまでも外界に対する興味を失うことのない沢木さんのような人になりたい、と思いました。僕にとって沢木さんの旅は、「テーマやルールを持った旅」というのを意識し始めたルーツとなっています。

そしてこの旅を始める最大のキッカケを与えてくれたのは、成瀬勇輝さんとの出会いでした。成瀬さんは「ノマド」というキーワードをテーマに、世界中のノマド的な働き方をしている起業家などを訪ねて旅をしていた、僕の先輩にあたる方です。今、成瀬さんは、その旅で得られた経験やインスピレーションをもとに、日本の若者を世界に送り出すべく数々のプロジェクトに邁進しています。こうした先輩たちに倣い、僕も僕自身のテーマで旅をしようと思ったのです。

僕の旅のテーマは「モノガタリを探す」こと。テーマをもって旅をすることの意義を、これから世界に出ようとする若者に伝えられたらと思います。この旅を通して、僕自身がストーリーを生み出す「モノヅクリ」のカタチについて、考えや視野を拡げ、僕なりの「答えのような何か」を見つけられたらと思います。そこから「日本や世界を変えるようなアイデアが生まれるかもしれない」という可能性を信じて。

「NYから始まる旅」

003 「NYから始まる旅」

僕は大学を休学して渡米し、ニューヨーク大学でビジネスのコースを取りながら、8か月ほどこのNYの街で過ごしてきました。この街には色んなものが溢れています。地下鉄ではあらゆるジャンルのストリートミュージシャンが思わず足を止めてしまうような音楽を奏で、街の至る所にアートが溢れている。カーネギーホールでは世界最高の音楽家たちがコンサートを開き、MOMAにはありとあらゆる現代美術が所狭しと並べられている。高名なセレブシェフの手掛ける高級レストランが軒を連ね、舞台好きの憧れの地であるブロードウェーでは珠玉の作品達が一流の役者たちによって連夜上演されている。

この街の魅力と言うか、魔力のようなモノに惹かれて、世界中から色々な人が集まってくる。この街では、毎日のように何か新しいものが生まれている。僕はこの街にはきっと、今まで出会ったことのない「モノガタリ」があると確信し、その「モノガタリ」を探して紹介していきます。

SOHOの少し外れにある、「3×1」のお店
SOHOの少し外れにある、「3×1」のお店

004 「最初のモノガタリ」

記念すべき最初の「モノガタリ」となるのは、NY発のプレミアムジーンズブランドである「3×1」(スリーバイワン)。初めてこの店を訪れた時、どうしようもなく胸が躍りました。生粋のデニム好きである僕の心を一瞬にして鷲掴みにしてしまったのです。このプロジェクトを始めたら真先にここの記事を書こう、と。今回は、「3×1」のマネージャーであるALANA BRANSTON女史に色々とお話しを伺うことが出来ました。

先ずは簡単に「3×1」というブランドを紹介します。「3×1」は、ニューヨークのSOHOの少し外れのMERCERストリートの上にあるアトリエ兼ショップを構えるデニムブランドです。手掛けたのはSCOTT MORRISON氏。彼は「Paper Denim&Cloth」、「7 For All Mankind」、「Earnest Sawn」といった数々のプレミアムデニムブランドを立ち上げたデニム界の若き重鎮であり、日本産のデニム生地の素晴らしさを、いち早く世に広めた第一人者でもあります。彼の日本産デニムへの思い入れの深さは有名で、自身の愛犬に日本屈指のデニムメーカーである「倉紡」と「日清紡」からあやかって、KURABOUとNISSHINBOという名前を付けている程。それほどにデニムにかける情熱と愛情は深い。そしてそんなSCOTT氏が自分の理想をカタチにしたのが、この「3×1」なのです。

古い建物をリノベーションした店舗内部。高い天井を持った広々とした空間に、クラシックさとモダンさが見事に融合している。
古い建物をリノベーションした店舗内部。高い天井を持った広々とした空間に、クラシックさとモダンさが見事に融合している。

005 「全てをTransparent(透明)に」

さて、何故この「3×1」というブランドが特別なのか。それは店に足を踏み入れた瞬間に分かります。店に入ってすぐ左側の壁に世界各国から取り寄せられた一流のデニム生地のロールがずらりと並んでいて、そしてその奥の透明なガラスの仕切りに区切られたスペースには、なんとデニムファクトリーがあるのです。つまり、自分が買うデニムが作られる過程や現場を、そのまま見ることが出来ます。

「『デニムが生み出される全ての過程をTransparent(透明)にして、最高の生地を、最高の縫製で仕上げ、唯一無二のクオリティのデニムを作り上げる』というのが、このブランドのミッションであり信念なの。」とマネージャーのALANAは語ってくれました。実際にファクトリーでは透明なガラスの仕切りの向こう側で、何十人ものデニム職人たちが黙々と、慎重かつ丁寧に、デニムを作り上げていく様子を眺めることができます。

「3×1」では、主に2つのラインがあります。1つはオーダーメイドライン。デザイナーと相談しながら、生地、スタイル、ボタン、ステッチの糸に至るまで、全てを一から作り上げます。自分にピッタリのデニムが見つかりにくい体格のいいプロスポーツ選手や、生粋のデニム好きが、文字通り世界で1本だけのデニムを求めてオーダーするそうです。

そしてもう1つがレディーメイド(既製品)。いくつかのスタイルがあり、好みの生地とサイズのものを選びます。この「3×1」の凄いところは、なんといっても、レディーメイドのデニムでさえも、同じスタイルで同じ生地を使ったものは多くても20本ほどしか作らず、すべてのデニムにシリアルナンバーが入っています。たとえば、1/20と書いてあれば、20本だけ作ったデニムの内の、最初の1本であることを示します。しかも、レディーメイドのデニムについているボタンは仮のモノ。つまり、購入してから、好きなボタンやリベット(補強用の留め具)をその場で選び、即座に工場でつけてくれるのです。ボタンやリベットには様々な色やバリエーションがあり、自分の好きな組み合わせができる。すなわち、既製品であるにも関わらず、世界で1本だけの自分だけのデニムとなり得るのです。そんな、「自分のためだけに作られるたった1本のデニム」が作られている様子を、その場で見ることが出来る。そんなデニムなら、愛着をもって履かざるを得ないのではないですか。

選べるボタンやジッパー、リベットのバリエーション。例えば、ボタンフライのジーンズなら、全てのボタンを違う色にする、なんていうカスタムも可能。デニム好きの心を鷲掴みにするディテール。
選べるボタンやジッパー、リベットのバリエーション。例えば、ボタンフライのジーンズなら、全てのボタンを違う色にする、なんていうカスタムも可能。デニム好きの心を鷲掴みにするディテール。
壁一面にロールされているデニム生地。全て旧式の力織機で織られたセルヴィッジと呼ばれる生地。日本産を中心に、アメリカ産やイタリア産などさまざまな生地を取り揃えている。
壁一面にロールされているデニム生地。全て旧式の力織機で織られたセルヴィッジと呼ばれる生地。日本産を中心に、アメリカ産やイタリア産などさまざまな生地を取り揃えている。

006 「圧倒的な品質へのこだわり」

「私たちはクオリティには非常にこだわっている。生地も、縫製も、少しの妥協もしないの。最高のデニムしか作らないわ。」とはマネージャーALANAの弁。

「3×1」のデニム生地は日本やイタリア、アメリカ産の厳選されたセルヴィッジデニムしか使っていません。セルヴィッジデニムとは、旧式の力織機で織ったデニムのことで、生地の端に「耳」と呼ばれる終端があることを特徴としています。最新式の織機で作られた生地が均質なのに対して、セルヴィッジデニムは生地自体に独特のムラがあり、それ故に、履きこんでいくとセルヴィッジ特有の色落ちや風合いを生みだします。この独特の「アジ」のために、あらゆる高級ブランドが好んで使用しているのですが、この旧式の力織機は世界でもあまり残されていない上に、織り上げるのに長い時間がかかるため、貴重な生地となっています。実はこの力織機を世界でも多く抱えているのが日本であり、「3×1」で使っている生地の9割近くが日本産なのです。これには歴史的要因なども絡んでおり、日本のデニムが世界一と呼ばれる一因でもあるのですが、それはまたいつか別の取材時に詳しく書きたいと思います。

「3×1」のデニム生地は日本やイタリア、アメリカ産の厳選されたセルヴィッジデニム

そして「3×1」のデニムは、腕のいいデニム職人によって、最高の縫製が施されています。たとえば、ステッチのピッチ(間隔)は非常に狭く、丁寧に、慎重に縫われている。2本のステッチが並列している部分などは、通常は2つの針が並行してついているミシンを使うのですが、「3×1」ではクオリティへのこだわりから、より緻密に縫製することが出来るシングルニードルのミシンで、一列ずつ縫われています。生地の裁断も機械を使わず、熟練の職人の手によって裁断されています。

「こんな風に何もかもこだわっているから、商品の数はあまり作れない。1人の職人が1日に2、3本くらい作るのが精いっぱい。」とALANA。近年のファストファッションとは、全てが真逆。全ての工程をスローダウンさせて、クオリティを追求している。

作られる過程だけでも、ここまでのストーリーがあるデニム。買ったその時点で、既にストーリーが宿っています。そこから更に履きこんでいくことで、そこに自身のヒストリーが積み上がっていく。確かに、「3×1」のデニムは少々高いかもしれません。しかし、それに見合うだけのクオリティとストーリーがあり、履きこむにつれて愛着も深まり、その価値は増していくのです。

なんと素敵な「モノガタリ」ではないでしょうか。これからも、こういう「モノヅクリ」、「モノガタリ」を探していきたいと思います。

最後に、取材に応じてくれた「3×1」とマネージャーのALANAに、この場を借りて感謝を。

それでは、また次回お会いしましょう。

レディーメイドの製品も、シルエットのモデル毎に壁にディスプレイされている
レディーメイドの製品も、シルエットのモデル毎に壁にディスプレイされている

Information 1

3×1

デザイナーSCOTT MORRISON氏が手掛けるデニムブランド。

公式サイト

Information 2

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文 周栄 行

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